2024年10月から社会保険加入が従業員数51人以上の中小企業のパート・アルバイトにも拡大されます。対象となる従業員の中には手取りが逆転する場合があり、最悪の場合、仕事を辞めてしまうという、いわゆる年収の壁を解消するために事業主を通じて対象従業員に手当をすることが検討されているという報道がありました*1。社会保険加入で手取りが減るくらいなら仕事を辞める、という選択をさせてしまうそもそもの制度の成り立ちが本当の問題なのだろうと思うのですが、そういった抜本的な対策は先送りされたようです。
そもそもの制度の成り立ちは家族単位で生計を見た姿が前提であったそうです。つまり、お父さんが正社員として1.5人分を、お母さんがパート・アルバイトとして0.5人分を働く家族の姿です。しかし、その結果としてお父さんは長時間労働で、お母さんは育児・介護を一身に受け止め、お互いに疲弊していく・・・
これはメンバーシップ型雇用の負の側面ですが、どうあれ戦後の日本経済を支えてきた姿ではあります。しかし、これからは年齢・性別に関係なく経済活動に参画しないと労働力の確保が難しい社会になりました。そのためには社会制度を変えていく必要があって、企業においても人事制度を働きに応じた処遇、育児や介護休業の取得促進等になるように工夫していく必要があります。
*1 「年収の壁解消へ企業に助成金 従業員1人当たり最大50万円で調整」 NHK Newsweb 2023.6.29 0:16配信