「歌は世につれ世は歌につれ」、昭和時代の流行歌を並べてみると興味深い傾向があるそうです。まず太平洋戦争後から昭和40年代前半までは職業名をタイトルにした、上京して仕事をする歌が多くあります。たとえば「東京のバスガール」(S32)、「あゝ上野駅」(S39)、「新聞少年」(S40)などが有名です。そして昭和40年代後半になると職業や仕事、地名が直接出てこなくなり、将来を夢見て旅立つ若者たちの歌が多くなります。たとえば、「さらば恋人」(S46)、「木綿のハンカチーフ」(S50)などが有名です。
転換期となった昭和40年代の中頃に何があったのだろうか?この頃といえば、昭和43年に日本は西ドイツを抜いて世界第2の経済規模に達しました。もはや、「東京に出てとにかく仕事にありつくこと」から「より良い生活を享受すること」に関心が移ったのでしょう。
そしてこのときに、当時の日経連から『能力主事管理』が発行(S44)されることになります。能力主義はメンバーシップ型雇用の土台になる考え方です。能力主義はとにかく仕事にありつく時代を経て、より良い生活を享受していこうとする時代の流れにフィットした考え方であったため労使両方から支持されたといえます。
さて現在、ジョブ型雇用を目指す現代の世情を映す歌を探してみるのも面白そうです。
追記 2023.11.11 「ホームタウン急行」(S54)という歌がありまして、この曲は都会から故郷に戻るといった内容です。昭和50年代の中頃にもなるとこういう曲も増えてきます。