ことし日本の人口は80万人減り、14年連続で減少したそうです。政府は「少子化、人口減少はわが国の社会経済や社会保障にかかわる重要な問題だ。安定的な労働力の確保に向けて、働き方改革などにより女性や高齢者などの就労を最大限促進するとともに、その能力を発揮できるよう働く人の立場に立った労働市場改革を進めていく」と発表しました。*1
公衆衛生の専門家が人口について研究し1977年に出版された本によれば、この当時は人口増加をいかに静止するかが関心事でした。この本の中に次のような記述があります。
「今後は先ざきまで、人口増加と逆の心配をしなければならなくなるという危険を考える人もあるであろう。長期の問題をいうならば、それは全く否定できないと思う。しかし世界の人口、わが国の人口の当面の課題はやはり静止人口への接近である。マイナスを恐れて静止への道から遠ざかれば、通らなければならない困難は、むしろより大きいものとならざるをえないであろう。」*2
人口減少より人口増加のほうがよほど恐ろしいということでしょう。また、人口減少が明確に予想された頃になっても、人口増加のもとで拡大してきた日本経済が私たちに必ずしもプラスではなかった、という経済学の専門家による研究もあります。*3
社会保障に限れば人口の増減よりも、人口のバランス(年齢構成)が問題の原因のようにも思われ、こう考えてくると人口減少自体はそれほど悪くもないのでは?と思うのですが・・・どうなんでしょう。
*1 「日本人の人口 14年連続減少 初めて47都道府県すべてで減る」 NHK Newsweb 2023.7.26 7:11配信
*2 『人口を考える』 村松稔 中公新書 S52(1977)
*3 『人口減少社会の設計』 松谷明彦・藤正巌 中公新書 2003