事実と意見の書きわけが大切だといいます。意見を述べる場合にあたかも事実のように記述してはならないのだと。
例年この時期、中小企業診断実習をサポートするお仕事がありまして、実習生が書くレポートをチェックしなければいけないのですが、なかなか事実と意見の書きわけを伝えるというのは難しく、チェック作業は自分自身のトレーニングでもあります。論文の書き方を指南した本には次のような例が示されています*1。
「学生がきちんとした文章を書けないことにふしぎはない」
この文章には事実と意見の書きわけに問題がある。「学生がきちんとした文章を書けない」は判断(意見)であるのに、「(書けない)こと」と受けて事実の記述のかたちにしてしまったことに問題が生まれる、というのです。
「学生がきちんとした文章を書けないとしても、それにふしぎはない」
このように書くべきで、意見を述べるときは、いつでも判断等があることを明示しなければならないと。なかなか難しいことです。
*1 『理科系の作文技術』木下是雄 中公新書 20版 111p-