わが国では従業員を「社員」と呼ぶことが一般的ですが、このような呼び方にも変遷があったようです。いわゆるブルーワーカーをどのように呼んできたかをたどると興味深いものがあります。
江戸時代の職人は明治時代になると「職工」と呼ぶようになりました。ホワイトカラーは職員と呼ばれ、人事や処遇は区別されていました。やがて、工業生産が盛んになり、職工の処遇を高める必要が生じた大正時代になると「工員」と呼ぶようになりました。職員に対して工員となり、一定の区別はありつつ一体化した感じになりました。さらに時代が下り太平洋戦争後になると「社員」と呼ぶようになりました。ホワイトカラーも社員と呼ぶようになり、少なくとも呼称としては区別はしないようになりました。
こういった経緯をたどると、職種(ジョブ)による区別を取り払おうとしてきた歴史があったことがわかります。さまざまな労使関係の結果ではありますが、従業員の呼び方にも人事の考え方が反映されてきたようです。