いまから9年前(2014年)に放送された討論番組を改めて見る機会がありました。討論は、企業人事について年功序列擁護と成果主義推進の両立場の論客によるものでした。
成果主義推進の立場からは、若者が将来の不安から、優秀な人材は報酬面など現状に満足できないことから雇用が流動化している。またグローバルな人材獲得のためにも年功序列では対応できない、という主張。一方、年功序列擁護の立場からは、心理学の知見によれば報酬は動機づけにはならずむしろ害である。また日本において経済成長は年功序列の下でも実現できた、とういう主張。結局のところ、両者とも、成果と年功は一長一短あり、両方をうまく取り入れていくべきという決着でした。
現在のジョブ型議論にもつながり、そもそも根深い問題もあって解決は簡単でありません。それでも、地域金融機関の理事長の立場にあった年功序列擁護の論客の言葉が心に残りました。それは、経営者こそ自ら報酬のために働くのではなく理想のために働くべきだ。報酬のためという経営者に成功した者はいない。と断言されたところです。話を広げすぎるかもしれませんが、この議論は企業人事という狭いテーマでありますが、究極のところ「個と公」の議論にも通じるのではないかと思うわけです。
*1 日経プラス10 『脱・年功』に待った!成果主義の反省から生まれた人事制度とは BSジャパン 2014.10.14放送