AI導入に関わるリスク管理に関するある調査発表ニュースの中で、人事評価にAIを導入するかどうかが示されていました*1。少し引用しますと、「一方で、個人情報の取り扱いに配慮が必要であったり、人間の判断要素が大きいと考えられる「採用」や「人事評価」の分野へのAIの導入は、前向きな企業は10%程度にとどまり、これらの分野でのAIの導入に抵抗感があることが伺えるとしている。」ということで、現段階では慎重姿勢の企業が多いらしいです。しかし、すでにAIを搭載した人事評価システムなるものが販売されていて、技術が進歩していけば今後普及していくのではないかと思います。なぜそう思うかといえば、どうあれ技術は普及すると考えるからです。
人事評価は、要するに部下の仕事ぶりを事実に基づいて評価したいわけです。事実のとらえ方は突き詰めていくと(哲学的な話になるわけですが)つぎのような見方に整理できそうです。(1)上司あるいは部下の体験としての事実、(2)数値化された事実、(3)技術的な事実、です*2。 (1)の事実は伝統的なものです。そこに(2)のような定量的を良しとする見方があります。さらにそれを強化するように(3)のAIあるいは認知科学的な見方が取り入れられようとしている、といえるのではないでしょうか。
この3つの見方のうち後者ふたつは人間を幸福にするかどうかはわからないけれど、世の中の潮流であると考えれば、なんというか楽観と諦観をもって付き合っていくしかないのかな、と思うわけです。
社員に与えたウェアラブル端末を通じて行動管理さらには生体データを収集し得られたデータをAIで分析した結果アナタハシゴトヲシテイル・・・といった未来も間近なようです。そのほうが「客観的」な人事評価なのだと納得できれば良いのでしょう、けど。
*1 「KPMGコンサルティング、「サイバーセキュリティサーベイ2023」を発表」 クラウドwatch 2024.2.27配信
*2 『いま世界の哲学者が考えていること』岡本裕一郎 ダイヤモンド社