「コーオプ教育(Cooperative Education)」という言葉を恥ずかしながら初めて知りました。ある大学のウェブサイトの解説を要約すると「コーオプ教育は座学と現場における就業体験を融合させた教育制度で、大学と企業等が協力して実習の内容や方法を設計・実施し、単位認定が行われ、実習期間が長期間となり、有給となる場合が多いことが特色」とのこと*1。企業が行うインターンシップとの違いは、大学主体、長期間、有給といった点のようです。多くの大学で行われていて、学部だけでなく大学院でも行われるそうです。大学院であれば、社会人の学び直しにも効果的ですし、企業の人材育成を大学に委託するようなイメージも作ることができるようです。
大学のような高等教育機関が職業教育(あるいは職業訓練に近いもの)を企業と協力して実施されることはとても意義深いと思います。もちろん大学は研究や学位授与を行う最高学府としての歴史・権威があるわけですが、現代社会における職業人を輩出する実務的な役割こそ企業としては期待したいところ。
こういった教育制度に、企業の組織人事の立場で考える点のひとつは能力評価にあります。ある職業(職務)についてどのような知識・技術等の能力が必要かについて、これまで長きにわたり企業が自ら定義し評価を行ってきたのですが、実のところ未だに手探りというべきでしょう。職種によっては職業能力評価基準(厚生労働省)もありますが企業における活用度は限定的です。また、いわゆるコンピテンシーといったものもあるのですが、実際のところ百家争鳴という状況でエビデンス不明なものも多い。よって企業が行う能力評価は、あいまいな基準や方法によらざるを得ない形になっていて、結果として評価にかかるコストやストレスが大きいわりに決め手に欠ける結論になっているわけです。そこで企業による能力評価を止めて、大学等からお墨付きをもらうような形になれば、どうだろうか。少なくとも管理職層や専門職層だけでも。コーオプ教育がいわば公的なアセスメント機能となることで、人材の階層化が明確になり、あのジョブ型雇用が成り立つのではないかと考えるわけです。
*1 茨城大学の地域未来共創学環 コーオプ教育 | 地域未来共創学環 (ibaraki.ac.jp)