週休3日制が徐々に導入されるようになってきました。ある資料によると完全週休2日より休日が多い制度を導入している企業の割合は令和5年の時点で7.5%と*1、まだ割合は小さいようですが増加傾向にあるそうです。また、公務員制度では2023年の人事院勧告で週休3日が触れられたこともあり導入が進み始めています。
週休3日制には大きく二つの類型があります。ひとつは、ワークシェアリング型です。基本的には組織全体で一斉に取り組むことになりますが、休日を増やし労働時間を削減して(多くの場合は賃金も削減して)、そのぶんを雇用維持に回す考え方です。コロナ禍で注目されました。もうひとつは、ワークライフバランス型です。労働時間にメリハリをもたせるもので、1週の労働時間を維持しつつ1日の労働時間を増やし休日を生み出す方法です。増えた休日を、育児、介護、自己啓発、副業など様々に活用できるとする方法です。個人単位で行うこともでき、人材不足の経営環境のもとではこちらの型のほうが注目されるのではないでしょうか。
週休3日制を導入すると組織人事への影響も大きく、報酬制度の改定、場合によっては人事評価制度の見直し等対応しなければいけません。現実的な課題として仕事の仕方を見直すことも必要でしょう。「人に仕事が着く」とよくいいますが、労働時間の在り方を変えると、たとえば職場状況の申し送りや担当職務のノウハウ共有化等が問題になることが多く、これが不十分だと仕事が滞り結局のところ労働時間増を助長し、混乱が残ることになりそうです。このあたりの課題は、古くはフレックスタイム制・裁量労働制を導入したときや、近年でも育児介護休業・短時間勤務、有給休暇取得促進への対応で多くの企業が経験済みといっても良いかもしれません。
そういえば、昔は「半ドン」がありました。経験者にイメージを聞くと意外に好意的な反応があります。「午後から職場の皆さんで出かけたり、ソフトボールしたり、楽しかった」みたいな感じで。今となっては懐古趣味と言われそうですが、いきなり週休3日制ではなく半ドンを絡めた「週休2.5日制」から始めてみるという考え方もあるのでは?と思います。たとえば、「水曜午後は休日」「月曜午前は休日」という感じで半日休日の設定から始めてみるわけです。賃金維持もしやすく、業種・職種によってはこちらのほうが対応しやすいと思われ、混乱は少なく効果は見込める方法ではないかと思うわけです。
*1 「就労条件総合調査(令和5年)」厚生労働省 結果の概要|厚生労働省 (mhlw.go.jp)