前回触れた「アルムナイ採用」。アルムナイとは卒業生のことを指すそうです。アルムナイは採用だけでなく、退職者ネットワークとしての活用も期待されているとか。以前、ある企業の人事担当者とお話しておりましたら、その企業もアムルナイ採用に取り組んでいました。これまでは退職者の再雇用など考えもしなかったそうですが、人材確保の必要に駆られやってみたところ意外に多く採用できたとか。
いわゆる「出戻り採用」「Uターン採用」のほうがピンとくる表現です。新卒採用より定着率も良さそうで、採用コストも抑えられそうなのですが、具体的にどのような取り組み方法があるでしょうか。
ひとつは「ネットワーク型」です。退職者を対象にしたSNSグループ等をつくり、登録してもらい情報発信していきます。たまにイベントを開催したりして人的つながりを維持する方法です。もうひとつは「優遇型」です。特に家庭の事情でやむを得ず離職する社員等が主な対象者イメージになります。退職時に再雇用条件を提示し意向を把握しておく方法です。たとえば、育児期間中に資格取得した場合等は優遇するといった条件を提示しておくといったものです。
いずれの方法でも、対象者は誰でも良いというわけにもいかないでしょう(たとえば勤続年数5年以上で退職した場合を対象にする)。また、社内風土の醸成も重要になります(特に経営者や年数の長い社員の感情面?)。最後に重要なことなのですが、アムルナイになる前の、自己都合で辞める社員の退職理由を把握しておくことです。なぜ辞めようと思ったのか?が原点にあるのですから、出戻ってきた理由と突き合わせることで、弱みだと思っていたことが実は自社の強みだった、といった発見につながることが期待できます。冒頭で挙げた「ある企業」ですが実は公的な団体なのですが、保守的な組織風土に嫌気がさし一度は離職したものの、外の空気を吸ってみると世知辛く、やっぱり・・・と戻ってくるらしいのです。それはそれで自社の現状把握になるわけです。
参考資料:「リターン採用・カムバック採用制度の設計・運用実務」労政時報 3974号