仕事がら製造業の企業診断に従事することがあります。製造業の現場を拝見し、経営者のお話を頂戴し、診断・提案することになります。企業診断のときいつも感心することが製造業の現場で長年にわたり技術者によって伝えられてきた知恵です。ところが、製造現場では当たり前のことであっても、製造現場以外では案外知られていないことも多いようです。たとえば、改善(カイゼン)を指南した書籍に次のような記載がありました*1。
「合わせるな当てろ。」
「要るものしかない職場をキレイな職場という。」
「数えるな、形にして見よ。」
「一つだけだと問題は見えないが、一か所に集めると問題は顕在化する。」
事務仕事であってもこれらの知恵は大いに活用できます。スプレッドシートで資料を作成するような場面などだけでも活かせます。
目を凝らさないとデータが見つけられないような資料は仕事の効率を下げ、ミスを誘発します。必要な個所に一発でジャンプでき、不要なデータが整理してある資料は機能的で見た目も良いものです。また、数字の羅列よりもデータごとに色分けされていたりすれば見た目ですぐにわかります。ほかにもたとえば、文房具を「個人持ちにしない(一か所にあつめる)」があります。事務所の文房具は一か所に集め必要なときに持ち出すようにするだけで重複購入が避けられ販管費の削減になります。
こういう意識をまずは共有することが大切でしょう。現場に学びたいものです。
*1 『儲かるメーカー 改善の急所 101項』柿内幸夫 日本経営合理化協会出版局