少し前にネットに掲載されていたものですが、「パーパス経営は組織を疲弊させるのか」というタイトルの記事がありました*1。「パーパスは一種の「ブーム」とも言える状態になっていった」とのことですが、「企業が今直面しているのが、「パーパスが従業員に浸透しない」という問題」があるのだと。そのため一部の企業では、パーパスを現場まで浸透させるために「マイパーパス」を作ってもらい、「会社のパーパスとリンクさせ共感を高めよう」としているといいます。
ところで先日、ある企業の経営者から「幹部には業績目標を立ててもらっているが、各自の目標が業績に直結できていないことに悩んでいる」というご相談がありました。現状どのように対策されているかを問うと、「そのために売上目標額を各部署に展開している」と。
パーパスも業績目標も、組織と個人のリンケージには、いわば因数分解が大切だと思います。例えば売上であれば「売上=客数(既存、新規)×客単価(点数、価格帯)」といったように、いわば因数分解することによって「それでは、新規顧客を獲得するために・・・」といったように具体的行動につなげやすくなるものです。単に、売上目標額を各部署へ展開(小分け)するだけでは表層的で、何をすべきかが明らかにならず最後は精神論になってしまうものです。
先ほどのネット記事にも「会社の「パーパス」と個人の「マイパーパス」の接続を図るとき、表層の言葉だけをつなげようとしてもうまくいかない」と解説されており(詳細はネット記事のほうをお読みください)、この記事のとおりでパーパスだって業績目標と同じように因数分解が必要なのだろうと思います。
こういうときに、「要は人材の問題」と管理職にすべて押し付けてしまいがちなのも困ったものです。経営を担うすべての立場の者が問題解決のためのフレームワークを獲得・駆使し、意欲をもって、そして協力して対処すべきだと考えます。
*1 「なぜ「パーパス経営」は組織を疲弊させるのか。“きれいごと”に社員は冷めている」BUSINESS INSIDER JAPAN 松田佳子 2024.12.10