このごろ私は1970年代が気になることが多くなりました。たとえば、今年開催される大阪万博の話題を聞くたびに1970年の大阪万博を思い出したり(幼かった自分も行ったようですが実は記憶にないのですけど)、カラオケでは1970年代しばりで選曲してみたり、テレビで「男はつらいよ」が放送されるとつい観てしまったり。
そんな1970年代と現代とで比較される指標に実質実効為替レートがあるそうです。日本銀行の時系列統計データ*1によれば、実質実効為替レートは1970年が74.53だったのが2024年が70.79とか。つまり1970年よりも現在のほうが実質的に円安なのだそうです。この間もっとも円高だったときが1995年で174.20です(2020年=100)。曲折はありますが、1970年から1995年まで円高傾向だったのが、一転して現在まで円安傾向となっています。
身近なところでは海外旅行が挙げられます。宮崎県の資料*2によれば「昭和30年代後半から50年代初めにかけて、宮崎は空前の新婚旅行ブームに湧いた。」とあります。ピークは昭和49年(1974年)とのこと。1970年代、海外旅行はまだ高嶺の花といった感じ(というか若者が海外に行くにはちょっとした勇気が必要だった時代)で、外国人や舶来製品も珍しかった記憶があります。製品は国内産が主流で、さらに言えば手編みのセータ―が当たり前であった時代でした。
それが、プラザ合意からバブル経済までの1980年代には一気に外国が身近になりました。ジャパン・アズ・ナンバーワンといわれ外国への気後れも薄れて新婚旅行は海外が定番になりました。パッケージが外国語で書かれたチョコレートも良く目にするようになり、海外からブランド製品が押し寄せてきて手編みのセータ―は恥ずかしくなりました。そういえば寅さんが初めて海外に行ったのは1989年夏公開のシリーズ41作「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」だったのも、なにか象徴的な感じがします。
さて現在、2020年からのコロナ禍によって国内指向が急に高まった感じもありますが、実質実効為替レートが1970年を下回るくらいになったからといって、時代が単純に逆戻りするわけはありません。現代、こんな状況でも日本人はすっかり経済大国気分で連休ともなれば海外旅行に出かけます。もちろん、海外で活躍するアスリートや芸術家が増えたり素晴らしい面もあります。ただ、取り巻く環境も大きく様変わりしましたが何かあの時代に学べることはないだろうかと思ったりもします。